2025年の看護師不足を解消するために

2025年問題とは、第一次ベビーブーム(1947年~1949年)に生まれた、いわゆる「団塊の世代」が75歳の後期高齢者となることで社会保障費が増大し、医療・介護の人材が不足する問題をいいます。国は地域包括ケアシステムを構想しており、看護師のニーズは病院だけでなく地域にも及ぶと考えられ、看護師の不足はますます進むと予想されます。これに対し国は様々な施策を掲げました。看護師確保の対策としては、新規養成・復職支援・定着促進が挙げられています。新規養成では、学生時代からの多様な職場でのインターンシップの支援や多様なキャリアパスへの学生と教員の理解を深めるためのサイトの周知、活用の促進を行っています。

復職支援としては、ナースセンターとハローワークの連携事業による好事例を都道府県の労働局やハローワーク、ナースセンターに周知したり、ナースセンター相談員の質を高めるための支援などを行っています。定着促進では、看護師の勤務時間や労働環境改善のための研究や医療施設での暴力、ハラスメントの実態調査による問題の明確化により、適切な職場管理ができるよう看護管理者や看護職員への研修などを推進しています。

また看護師不足の領域別や地域別の偏在対策も行われます。領域別の偏在の調整として、訪問看護事業所や介護保険施設等で研修を実施し、多様なキャリアを持つ看護師の活用のため看護管理者にも研修を行います。地域別の偏在対策としては、平成29年度から実施されている「地域に必要な看護職の確保推進事業」に基づき、これを全国展開するための事業の実施支援、好事例の分析、情報提供の促進などが行われます。